市川市議会で、1人の市議が、名誉毀損で22人の市議を訴えるという異常事態

これは、異常です。
懲罰を受け、本会議で陳謝文を読まされたことを「名誉毀損」として、市川市議会の松井努議員が22名の市議を提訴しました。

 

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https://www.city.ichikawa.lg.jp/cou01/1541000002.html

過去に同様の訴訟があったのか調べたのですが、「処分取消」などを求めて行政(市や町)を提訴するケースしか見つかりませんでした。

www.asahi.com

 

kahoku.news

 

議会でのやり取りを巡って、議員が議員に対して提訴する。
しかも名誉毀損の罪を問う。

やはり、異常です。


この訴訟は「発議第39号 市議会議員の親族の生活保護受給の調査に関する決議」(2021年12月14日付)に関連しているようです。

https://www.city.ichikawa.lg.jp/common/cou01/file/0000385934.pdf

 

発議のタイトルにある「市議会議員」は、越川雅史市議を指しています。越川市議は、反村越前市長派の議員として、テスラ公用車やスケスケシャワー問題などを追及してきました。そして、松井市議が代表を務める市川市議会の会派「緑風会」は、前市長派。

ただ、以前から緑風会と越川市議とは反りが合わないというか、とてもじゃないけど良好な関係ではなかったようです。

 

そして、「市議会議員の親族の生活保護受給」については、緑風会に所属する鈴木マサ市議のツイートだと、鈴木市議のもとに差出人不明で「越川市議の兄(市内在住)が生活保護を受けている」という怪文書が届いたとのこと。ただし、鈴木市議は「97%の男が、過労死で死んでる統計がある」などのデマばかりを流し、他人になりすまして攻撃してくる人間なので、当然、虚偽も混じっているでしょう。やれやれ。

 

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差出人不明の怪文書の内容を理由に、松井市議や鈴木市議など(緑風会)は、越川市議を攻撃していると考えられます。

 

ちなみに、生活保護に関しては、日本弁護士連合会が作成しているパンフレット「生活保護Q&Aパンフ」には、次のように書かれています。

最近、芸能人の家族が生活保護を受けていることが話題になりましたが、これは、そもそも不正受給ではありません。生活保護法は、扶養義務者が適正な仕送りをすることを、保護適用の前提条件とはしていないからです。民法上も、強い扶養義務(生活保持義務)を負うのは、夫婦同士と未成熟子に対する親だけで、成人した親子や兄弟姉妹は、「社会的地位にふさわしい生活をしたうえでなお余裕があれば援助する義務」(生活扶助義務)を負うにとどまります。

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf

 

家族にはさまざまな事情(「愛憎相半ばするデリケートな問題」)があるため、たとえ高収入でも、成人した親子や兄弟姉妹を扶養する義務があるとは限らないという内容が、「生活保護Q&Aパンフ」に書かれていました。

 

 

2021年10月 市議(名前は伏せられている)のもとに、市民からの投書があった(真偽不明)

その投書には、本市議員である越川雅史議員の実兄から、ある市議に送られた手紙が添えられ、「公職につく、市会議員が、家族ぐるみで、不正受給とは論外である。国民、市民の血税を、詐取するとは、議員の資格はない。議会として、真相を究明して、市民に報告する必要がある」と書かれていた。 

「発議第39号 市議会議員の親族の生活保護受給の調査に関する決議」より

おかしいですね。どうして市民からの投書に、「本市議員である越川雅史議員の実兄から、ある市議に送られた手紙が添えられ」ているのでしょうか? 市議が受け取った手紙を、なぜか正体不明の市民が持っていたということです。


推測するに、「市民からの投書」ではなく、緑風会の鈴木市議のもとに、越川市議の兄から、なんらかの連絡があったのでしょう。鈴木市議は、越川市議の兄と連絡を取り合っているとツイートしていたからです。

そして、「公職につく、市会議員が、家族ぐるみで、不正受給とは論外である。国民、市民の血税を、詐取するとは、議員の資格はない。議会として、真相を究明して、市民に報告する必要がある」という文章については、本当に市民からの投書に書いてあったのでしょうか。読点がやたら多い松井市議のツイートと瓜二つという点も、気になります。

 

2021年11月5日 緑風会が議長に「事実確認の申入書」を提出
2021年11月17日 越川市議が議長に対し、「申入書の質問事項が不明瞭」と回答
緑風会が議長に「越川雅史議員への生活保護に関する質問状」を提出
2021年12月2日 市議会で、松井市議が生活保護に関連して発言

松井市議の発言 ※わかりにくい……
「つきましては、ここに1つ資料がございます。私は、以前から交流のある市議さんに相談しました。私の両親は年金暮らしで、父は病気で施設の療養が必要であります。私は何々のために生活保護です。弟は市議で起業もしており所得も十分あるはずですというような文面が届き、しかも、それにいろんなこともございました。それで、我が会派は7名で議長宛てに、この市議会議員の名前の書いてある事実について、事実確認についての申入書をさせていただきました。しかし、11月17日の議長からのお話では、何を聞こうとしているのか質問の事項が不明瞭であるから答えられないという回答がございました。そこで、我が会派はまた7名で、具体的にあなたの親族は市川市から生活保護を受給しているか、もしくはしていたことがあるか伺います。また、受給しているとするならば、親族の扶養義務をどの程度負担していますかという質問をさせていただきました。しかしながら、その答えはないままで今日に至っております」

www.city.ichikawa.lg.jp

2021年12月7日 市議会に「村越祐民市長に対し、日本国憲法及び諸法律を正しく理解するとともに、国民を差別する発言を慎むよう求める決議に関する動議」が出され、それに関連して松井市議が発言

松井市議の訴状にある「清水市議・増田市議の『嘘の議事進行発言』」は、どうやらこのときの清水みな子市議と増田好秀市議の発言を指している模様。

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https://twitter.com/matsuitsutom/status/1500780244206485506

増田市議の発言
「去る12月2日の会派緑風会第2の代表質問において、松井議員は、本市市議会議員42名の中に生活保護の不正受給に関与した議員がいるかのような発言をされました」

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2021年12月8日 市議会で、「議員には守秘義務がない」「市民のプライバシー権の侵害が許されている」などと松井市議が発言

松井市議の発言
「行政が議員のことについて、それをいろいろ情報言ってはいけないと思いますよ。しかし、議員は守秘義務はありませんよ」

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2021年12月10日 「地方自治法第132条に違反し、他人の私生活における秘密を暴露した松井努議員に対する懲罰動議」が提出

www.city.ichikawa.lg.jp


→可決
→懲罰特別委員会の設置
2022年2月8日 本会議で松井市議が陳謝文を読む

www.youtube.com

2022年3月7日 「地方自治法第132条に違反し、他人の私生活における秘密を暴露した松井努議員に対する懲罰動議」に賛成した22名の市議に対し、松井市議が名誉毀損で、110万円の慰謝料を請求する訴訟を提起

 

2022年4月5日 市川簡易裁判所から千葉地方裁判所への移送が決定

 

市民そっちのけの、訴訟祭りですな。

 

◆追記1

そもそも、懲罰動議に賛成するという行為を「名誉毀損」として裁判で争うこと自体、滑稽です。市民の代表として、議会で賛否を表明するのが市議の仕事だからです。

また、議会で「他人の私生活にわたる言論」を松井市議が行ったという行為自体が地方自治法第百三十二条に抵触していると判断されたのならば、発言の取り消しは無関係。「発言が記録に残らなければよい」という話にはなりません。

「松井市議がこうした発言をしたこと自体を問題視し、また、他人の私生活への言及がエスカレートする傾向が見られたため、懲罰動議に賛成した」と、提訴された22名は裁判所で反論するだけでしょう。

第百三十二条 普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。

elaws.e-gov.go.jp


 

◆追記2

市川市議会の松井努議員は、本人訴訟を行うのではないでしょうか。

おそらく訴状は、弁護士ではなく司法書士が作成したのでしょう。松井市議は不動産業を営んでいるため、不動産登記などで司法書士と懇意にしていた可能性があります。

松井市議が訴状の一部をネットにアップしているのですが、「この内容で訴訟を起こすとは……」「多勢に無勢で、不利な状況なのにいったい??」と不思議でなりませんでした。弁護士ならば、訴訟を勧めないと自分は思いました。

また、過去に同じ会派だった鈴木マサ市議が本人訴訟を行っているので、松井市議が「自分にもできる!」と勘違いしてしまった可能性も考えられます。やれやれ。